読む前に
前提知識
- 特になし
対象読者
- 物理マシン/仮想マシン/IaaSとはなんなのかを知りたい
- それぞれのメリットとデメリットがしりたい
※なるべくITエンジニアでは無い方にも理解できるように書きます
この記事で紹介しないこと
- 仮想マシンを実現する技術的な話
- IaaSの詳しい説明
物理マシン/仮想マシン/IaaSとは?
それぞれの説明をするために例をご紹介します。
例:みなさんは会社の社長で「従業員の住む家を用意しないといけない」というシーンを考えてみましょう。
物理マシン(物理サーバー)について
従業員の住む家を用意するために、あなたは家を建ててあげる必要があります。(この当時には借家という概念がありませんでした)
また従業員には1人1人家族がいますので、別々の家をあてがう必要もあります。ですので従業員の数だけ家を立ててあげて、しかも管理をする必要があります。
とても大変です。
物理マシンの問題点
この時の問題点は、家を1軒用意するのにお金がかかることです。
また、簡単に移動もできず家が老朽化すると立て直したり、リフォームもしなければなりません。これが、〜2000年代初頭までのITの状況でした。
さてここでは以下のように読み替えてください。
- 家=物理マシン(物理サーバー)
- 従業員(住んでいる人)=アプリケーション
- 厳密にはアプリケーションではなくOS
- OS=WindowsとかLinuxのこと
→アプリケーションごとに1台づつ物理マシン(サーバー)を用意する必要があった
参考:物理マシンの実際の形
あくまで一例になりますが物理マシンはこのような形をしています。
ホスティングサービス(貸し出し)について
「1人1人の家を用意して管理するのは大変だろう」に目をつけた人たちがいました。そう「不動産オーナー」です。不動産オーナーはたくさんの家を所有していて、私たちにレンタルする商売をはじめました。
あなたは家を立てる手間や、管理する手間をお金で解消できるということで「これはよい」と不動産を利用し始めました。
ホスティングサービスの問題点
一見無敵に見えたホスティングサービスですがいくつかの問題が見えてきました。
- 自分で管理していないので、管理方法がわからなくてセキュリティが不安
- → セキュリティ的にリスクがある
- オーダーメイドで作っていないので、立地や家の広さ、置いてある家具が要求に見合わない
- → 動かしたいアプリケーションが動かせない
※ホスティングサービスは別名レンタルサーバーや共用サーバーとも言います
仮想マシンについて
「うーん。自分で管理する方が安全だけど、たくさん不動産を持つのもなあ…。」と困っていたあなたに新しいアイデアが落ちてきました。
そう「マンション」です。マンションを自分で建てて、その中にたくさんの部屋を作ればそれだけ従業員を収容できます。
これが相当流行りました。このマンションを作る技術のことを「仮想化」と言い、技術としてはMicrosoft社のHype-VやVMware社の「vSphere」などがあげられます。
仮想マシンの問題点
とても流行った仮想マシンですが、以下の課題がありました。
- (ネット回線をマンション内で共有している場合)マンションを皆で共有しているので、他の人がたくさんネットを使っていると重くなる
- → CPUやメモリ、ネットワークなどのリソースを複数のアプリで共有しているので、あるアプリが大量にリソースを使うと他のアプリが影響を受ける場合がある
- 一戸建てよりマンションの方が複雑な構成なので、出入りに時間がかかる
- → 仮想マシンで動かすアプリケーションの方が、物理マシンで動かすよりも遅い(性能が悪い)
- NHKの受信料がこれまでは1契約でよかったのに、マンションにしたら住人分全て払えと言われるように
- → 仮想マシンでつかうソフトのライセンスが異常に高くなる問題がある(Oracleなど)
ただし、仮想化は「1台の物理マシン上でたくさんの仮想マシンを動かせるというメリット」が非常に魅力的だったので、上記のデメリットを物ともせず大流行し今でも多く使われている技術です。
IaaSについて
ある日、アメリカから黒船がやってきました。その名もAmazonのAWSというマンションサービスです。
これまで自前でマンションを建てなければならなかったのですが、Amazonは超大量のマンションを保有しており1部屋から貸すよ?と囁いてきました。
このマンションはとても魅力的で以下のようなサービスが謳われています。
- 家の老朽化はAmazonが面倒をみます
- レンタル代は住んでた時間(1秒単位)の時間課金です
- レンタルするといろんな便利サービスが使えるようになります
- 海外にも同じマンションあるので使い勝手がいいですよ
- 部屋は数分で用意できますよ
あなたの仕事は「従業員の家を用意すること」ではなく、「従業員に働いてもらい利益を生むこと」です。なので、面倒な家の管理とか手配とかそういったものから解放されませんか?というAmazonのメッセージにITを利用する会社は「そうだね!」と首を縦に振って飛びついています。(とても便利です)
IaaSのもう少し詳しい説明
IaaSは「Infrastructure as a Service」といい「インフラのサービス」です。要するに上で説明した「マンションのレンタルサービス」です。
インターネット越しで物理マシン/仮想マシンを簡単に作成・削除することができ、利用した期間のみ課金対象となります。自分で物理マシンを管理する必要もなく、すぐに仮想マシンが用意できるだけあって、多くの企業が導入しています。
昔は機器を購入する必要があったので「どれだけの大きさの家・マンションを買うのか?」という検討が必要でしたが、いまではIaaSを利用するとボタン1つでマンションや部屋の大きさを変更することができますので事前の設計や検証も不要になりました。
仕事をでは、思いついたアイデアをいかに早く実現できるのかがとても大事です。海外から物理マシンを買って、ライセンスを調達して、機器を設置して…とやっていると何ヶ月も時間がかかってしまいます。IaaSはそんな手間を一足飛びする技術なのです。
IaaSの問題点
今の所、問題点はあまりありませんがあえてあげるとすれば以下の通りです。
- レンタル費が高い
- → 物理マシンを自分で買って維持する時に比べて高くなる場合があります(大量に買うと規模の経済が働いて安くなる)
- ただし維持の手間などを考えるとトータルコストは安くなる場合が多いです(人手など)
- 参考
- 完全にレンタルサービスなのでどのような仕組みが使われているかが見えない
- → わからないところでAmazonが保証してくれるので問題になることはほとんどない
- IaaSに縛られる(抜け出せなくなる)
- 使っていたサービスがなくなるかも
- ↑いまのところなくなったことはありません
- 無茶な価格変更のときに頷くしかできなくなる
- ↑いまのところ価格が安くなったことはあれど高くなったことはありません
まとめ
概念 | 例 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
物理マシン | 一戸建て | ・自由度が高い ・性能がでやすい |
・管理コストが高い ・何をするにも時間がかかる |
ホスティングサービス | 一戸建て(借家) | ・必要な機能が初めからそろっている | ・自由度が低い場合も ・今、流行っていない(選択肢としてそもそも上がらない) |
仮想マシン | マンション | ・ある程度の利便性がある ・自由度が高い |
・専用の技術を使う必要がある |
IaaS | マンション(借家) | ・利便性が高い ・すぐに用意できる |
・構成によっては高くなる場合も |
製品名/会社名など
- 物理マシン
- HPE
- Dell EMC
- Oracle
- 富士通
- Cisco
- IBM など
- ホスティングサービス
- GMOクラウド
- カゴヤ・ジャパン
- ファストサーバ など
- 仮想マシン
- Microsoft(製品名:Hyper-V)
- VMware(製品名:vSphere) など
- IaaS
- AWS
- Azure
- GCP
- Alibaba Cloud
- ニフティクラウド
- さくらクラウド など